Monday, April 14, 2014

Viktor E. Frankl, M.D., Ph.D 夜と霧 新版



第二次世界大戦のドイツの強制収容所で理由もなく虐げられ命と尊厳を奪われた人々の記録である。精神心理学の研究者である著者自身が,被収容者であった。生々しい現実が冷静な文章で記されている。体験して人でないと分からない辛さや悲しみ,言葉にできない現実である。一方で,本を通して多くの人の心に伝わることもある。

人間とは何か。自分の死を目の前にしてどう行動するか。人間と他の動物の違い何か。まともな人間とそうでない人間の違いは。生きる意味とは何か。人を愛するとはどういうことか。過酷な運命にどう対峙するか。人は誰でもいつか死ぬ。その死に方は千差万別だ。どれだけお金を稼いだとか,どれだけ美味しいものを食べたかとは,どうでも良い。他人に対してどう行動したか,人を心から愛したか,自分の死を恐れず,潔く死ぬ事ができたか。将来の人類の精神的な糧となる何かを残すことができたか。これらが,「どう生きるか」に通じるのではないだろうか。


中学校の卒業論文に,ある先生に,
「何を失うとも勇気を失う事なかれ」
と書いてもらったことを思い出した。
勇気にはいろいろな種類がある。勇気はどんな時に必要か。何があっても生き続ける,体が弱っても自分の心を平静に保つ,自分と他人の命を守る。新しいことに挑戦する。自分より強そうな人に立ち向かう。社会の中で批判されても自分の信念を曲げない。自分より弱い人を助ける。このような時に人の勇気,すなわち本当の強さが試される。「人間としての強さ」が勇気だろうか。

この本を読んで,少しだけ精神的に強くなった気がする。普通に働き,生きている事がなんと自由で幸せなことか,命の尊さが思い出される。

ヒットラーとナチスによる大量虐殺,人類の歴史の中でなんども繰り返される虐殺。21世紀の今日でも,世界のどこかで弱い人が虐げられ,殺される。このような愚かな行為はいつまで続くのか,どうしたら止めることができるのか。虐殺に対して戦っている人を応援しよう。

p.113
「苦悩と,そして死があってこそ,人間という存在ははじめて完全なものになる。」
p.125,スピノザより
「苦悩という情動は,それについて明晰判明に表像したとたん,苦悩である事をやめる。」
p.128,ニーチェより
「なぜ生きるかを知っている者は,どうように生きることにも耐えられる」。


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